「大阪代表 バファローズ高校」に向けて練習に励む大阪桐蔭高校吹奏楽部 「豊かな響きで選手の後押しを」

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2019年に初出場し、スタンドに感動の渦を巻き起こした「大阪代表 バファローズ高校」が、4年の時を経て京セラドーム大阪に帰ってきます。 今回は3日間にわたって開催し、5月19日に智辯学園高校、5月20日に履正社高校が、試合前にパフォーマンスを行います。 最終日の5月21日に登場するのは、大阪桐蔭高校吹奏楽部。試合前の演奏だけでなく、私設応援団とコラボした特別応援をライトスタンドから届けます。 本番に向けてどのように準備を進めているのでしょうか。練習の様子を覗いてきました。

写真:演奏への思いを語る梅田隆司監督

◆総勢156名による「人の背中を押す演奏」

大阪桐蔭高校は、言わずと知れた高校野球の名門ですが、吹奏楽部も全国屈指の実力を誇ります。梅田隆司監督のタクトに導かれ、全日本吹奏楽コンクールで金賞を5回獲得。全国から集まった総勢156名が年間約90公演をこなします。
2005年の創部のきっかけは、野球部の応援。それもあって、演奏の原点は「人の背中を押すこと」にあると梅田監督は語ります。「高校野球もプロ野球も共に多くの人たちが盛り上がる素敵なステージです。大阪桐蔭サウンドならではの低音に厚みがある豊かな響きで、選手を後押しし、ファンの方々にも喜んでいただければ」と力を込めます。

写真:試合前のパフォーマンスを練習する部員たち

◆初見での合奏も圧巻

テスト期間が明けて間もない5月17日、同校シンフォニックホールからパワフルな音楽が聴こえてきます。バファローズ高校に向けた本格的な練習が始まり、初見での合奏に取り組んでいました。
「宗佑磨さん、いきまーす」。部員が指揮を執り、選手応援曲のテンポやハーモニーを全員で確認し合います。バファローズファンが愛する名曲を、ハイスピードで仕上げていく様子は圧巻。初見とは思えぬ堂々とした演奏で、部屋いっぱいに一体感あるサウンドを響かせました。
試合前に披露するマーチングも練習。「ウィリアム・テル序曲」や「グレイテスト・ショーマン」、大阪桐蔭高校オリジナル楽曲「You are スラッガー」と、高校野球でおなじみの曲によるメドレーを予定しています。 中でも、TikTokを中心に流行中の楽曲「可愛くてごめん」は、センバツで演奏して好評を得たそうです。「斜め45度を意識して体の向きをそろえよう」「ここで、可愛いく足をあげて」と、振付を入念にチェック。楽しげな雰囲気で見せ方にこだわって練習していました。

写真:編曲を行う部員たち

◆大忙しの編曲担当

迫力ある合奏を繰り広げる裏で、パソコンに向かって黙々と手を動かしていたのは、編曲担当の二人。私設応援団から届いた金管楽器とパーカッションの楽譜を、木管楽器を含めた全ての楽器用に書き換え、ハーモニーを割り振ります。
編曲担当者の一人、石川裕基(ひろき)さん(2年生)は「曲の素晴らしさを崩さないようにしつつ、大阪桐蔭ならではの響きを引き出せるように意識しています」。パソコンに映し出された譜面を見ながら、鍵盤で和音を確認し、丁寧に楽譜を作り上げていきます。
編曲担当者としての“プロ意識”は高く「選手のテーマ曲は、一人一人がどういう選手なのかをきちんと理解し、そのイメージに合った和音やハーモニーを考えます」と石川さん。目指しているのは「バファローズファン全員に刺さる編曲」。選手のプレースタイルや人柄についての情報を集めてから、楽譜に落とし込むそうです。
20曲以上をわずかな時間で編曲することにも動じず「これから追い込みをかけます!」。楽譜が出来上がれば、ハイレベルな演奏技術を持つ部員たちが急ピッチで曲を仕上げます。

写真:意気込みを語る部長の江口禾柑さん

◆「応援曲の演奏、すごく楽しい!」

下校時刻の午後7時、練習を終えた部長の江口禾柑(ののか)さん(3年生)は「応援曲の曲数が多くてびっくりしました。それに、どれもテンポが速いので、想像以上に難しかったです」と振り返ります。「でも、演奏していてすごく楽しい! 練習し甲斐があります。これから頑張って仕上げていきます」。笑顔で意気込みました。
バファローズファンの中尾心真(しま)さん(3年生)は「僕たちの演奏で選手たちの情熱を燃えたぎらせたい。バファローズが勝てるように全力で応援します!」と熱い思いを口にしました。
ハードスケジュールにも関わらず、どの部員も楽しみながら準備を進めていた大阪桐蔭高校吹奏楽部。156人の心が一つになった厚みのある演奏が、京セラドーム大阪に再び感動の渦を巻き起こしてくれるに違いありません。(西田光)

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