バファローズを愛する大人の皆さんに、京セラドーム大阪にまつわるお酒の話をしたい。今回紹介したいのは定番のビールではなく、サワー。実は、京セラドーム大阪で販売されている「オリレモんサワー」が飛ぶように売れている。昨シーズン販売開始したところ、2022年シーズンのレモンサワーと比較し、販売数はなんと2倍に。SNS上では虜になったファンから「オリレモん飲むために観戦に来た」「おいしすぎて飲みすぎ注意」などの声が上がっている。
それもそのはず、このオリレモんサワー、京セラドーム大阪のグルメを担当する大阪シティドーム商業課イチオシのドリンクだ。
◆オリジナルドリンク
バファローズの選手や球団をコンセプトにした飲食メニュー「オリごはん」は、2017年から展開が始まり今や大人気のシリーズ。その中でもオリレモんサワーは、初めて商業課独自で開発を手がけた特別なドリンクメニューだった。
スタジアムグルメを担当する松本幹康さんは「『オリごはん』はお店によって異なる色々なメニューをお楽しみいただいています。その中で、どのお店でも共通して展開できる定番ドリンクも作れればと思っていました。商業課からレシピを各店舗に渡すことで、たくさんのお店で販売でき、お客様はお席から近いお店で気軽に買っていただけます」と戦略を語る。
数あるドリンクメニューの中でレモンサワーの開発に取り組んだ理由の一つとしては、ここ数年、若年層の来場者が急激に増えたことを挙げる。「若い人は『とりあえずビール』『球場といえばビール』が通用せず、一杯目から自分の飲みたいものを飲みます。ビールの次に売り上げが良く、若い人もよく飲んでいるレモンサワーに着手することに決めました」
◆バランスの取れた爽やかな味わい
味にはもちろんこだわった。「一口にレモンサワーと言っても、ガツンとした酸味が特徴のものや、後味に苦味が残るものなど、色々あります。オリックスのレモンサワーにふさわしい、酸っぱすぎず甘すぎずバランスの取れた爽やかな味わいにしようと思いました」と松本さん。20~30代のターゲット層を意識し、飲みやすさを重視した。
試飲会議では約20種類のフレーバーを飲み比べし、男性社員、女性社員共に活発に意見を交わした。最終的に選ばれたのはレモンの果肉もしっかり入った“本格派”フレーバー。「これぞオリレモんサワーという味わいです」と、松本さんは自信を持って話す。
さらにもう一工夫。カップの中で揺れるのは、凍らせた「くし切り」レモン。氷の代わりに中身を冷やすだけでなく、レモン果汁が溶け出ることでよりフレッシュな味わいを楽しめる。
「レモンを五つも入れたことで、インパクトが出ました。つぶすと味の変化も楽しめるので、人気の要因の一つになっているようです」と松本さんは語る。
◆「サザエさん」をヒントに
おいしさはもちろんながら、パッケージデザインにも注目いただきたい。おにぎりを模したおなじみの「オリごはん」のキャラクターが、オリレモん用にモデルチェンジされている。このデザインも商業課内で手掛けている。担当する山垣あかねさんは、コロナ禍の間に猛勉強して身に着けたデザインスキルを生かしている。「レモンからひょっこり顔を出している姿は『サザエさん』のオープニングをヒントにしました。主役の中身を引き立たせるために、色味はあえて少しくすませています」とこだわりを口にする。人目を引くユニークなデザインに仕上がった。
◆「#Bシャツ祭り」で即完売
このオリレモんのキャラクター、実はグッズデビューも果たした。毎年球団MD部が20種類以上のTシャツを発売する「#Bシャツ祭り」。昨夏、MD部のすすめでオリレモんTシャツも登場させることになった。「本当に売れるんだろうか…」という商業課皆の心配をよそに、発売されるや否や即完売。全20種類中なんと2位の販売数となった。1位のTシャツとは僅差だったそうだ。
「ゆる~い癒し系のイラストが可愛らしいので、オリ姫を中心にお買い求めいただいたみたいです。『オリごはん』のキャラクターも球場内のあちこちで見かけるのでファンにとっても親しみがあったのだと思います」とMD部の担当者たちは分析する。
◆派生メニューも誕生!
オリレモんサワーの大人気を受けて派生メニューも誕生した。ノンアルコールの「オリスカ~はちみつとレモん~」をはじめ、「Bs夏の陣2023」の期間中にはパイナップル風味の「オリレモんサワー夏の陣パイン」が発売され、好評を博した。
「商業課皆の力を結集させて売り出したドリンクメニューが、たくさんのファンに喜んでもらえて本当に光栄です。すでに『オリレモん』に続くドリンクメニューの開発にも着手しています。これからどんどん展開していくので楽しみにしていてください!」。やる気満々の様子で松本さんは語った。
商業課の頑張りがぎゅっと凝縮されたオリレモん。京セラドーム大阪にお越しの際は、目の前の試合に一喜一憂しつつ、酸いも甘いもオリレモんと一緒に飲み干していただきたい。(西田光)