5月5日の千葉ロッテマリーンズ戦で、来日初勝利を挙げたショーン・ジェリー投手。213㎝の長身から投げ下ろす力強いピッチングで安定した投球を見せ、マウンドで確かな存在感を示しています。現在の心境や日本で過ごす日々について、荒木陽平通訳がインタビューしました。
◆マウンドでは音が聞こえなくなるぐらい集中
――来日初勝利となった5月5日の試合、今振り返ってみてどうかな?
最高の瞬間だった。やっぱり負けるより勝つ方が楽しいね。
チームが本当に素晴らしいプレーをしてくれたのが大きい。何度だってそう言いたいよ。
ただ、僕の中では、ベストなピッチングかと聞かれるとそうではなかったんだけどね。
――7回無失点だったけど、試合後には「グレードAの球はなかった」と話していたよね。理想とするピッチングは?
目をつぶって投げても、自分が投げたいところにボールを投げられるようなピッチングかな。ボールが自分のイメージ通りに動いて、狙ったところにいく。それが自分にとっての「A」の球だ。
――これまででベストだと感じた登板はあった?
実は4月のソフトバンク戦2試合の方がグレードAに近かったんだよ。
ただ、そういう状態はシーズンの中でそう何回もあるものじゃない。その日の自分自身の状態をわかった上で、どうアウトを取っていくか考えるのがピッチャーの仕事だ。マウンドでは、周りの音が聞こえなくなるぐらい集中して自分の仕事に取り組んでいるよ。
――メジャーではリリーフでの登板が多かったよね。日本に来てから先発としての調整は大変だった?
準備の仕方自体はそう変わらないかな。オフシーズンもいつもと同じように過ごした。
ただ、先発は長いイニングを投げないといけないから、春のキャンプからはスタミナをつけるために段階を踏んで準備していたよ。
◆チームの雰囲気も素晴らしい
――日本の野球とアメリカの野球、違いは感じる?
日本では、打者は出塁し、得点することを第一に考えている。一方でアメリカだと、多くの打者がホームランを狙っている。
アメリカでは個人で結果を出そうとする傾向があるけど、日本ではチーム全体で勝利を目指してプレーしているんだ。とても良いことだと感じている。
――バファローズの魅力はどんなところ?
全てだ。僕は本当に恵まれていると感じている。チームの雰囲気も素晴らしいし、球団として選手をしっかりケアしてくれている。その上で、皆勝つことに集中している。
もし日本に来たがっている外国人選手がいたら「バファローズでプレーすべきだ」と伝えたいぐらいだよ。
――チームでよく話すのは誰かな?
もちろん君(荒木通訳)だよ!(笑)
選手だと、ロッカーが近い外国人選手とはよく話すね。あとは、ムネ(宗佑磨選手)やニシカワ(西川龍馬選手)、ケイタ(中川圭太選手)だね。
僕は先発で、登板が週に1回程度だから、自然と野手と話す機会が多くなるんだよね。
――「この選手すごいな」と思う選手は誰かいる?
難しい質問だけど、一番はオオタ(太田椋選手)かな。
基礎がしっかりしていて、プレーがとても安定している。素晴らしい才能も持っている。いろいろなポジションを守れるし、チームのためにプレーできる素晴らしい選手だと思っている。
◆服と靴は特注品
――これだけ身長が高いと、他のスポーツをすすめられたこともあったんじゃない?
最初から野球が好きだったんだ。迷うこともなかった。子どもの頃に家の庭でボールを手に取ったのが全ての始まりだ。
――ヒーローインタビューで、身体を上下に引っ張るストレッチャーを使って身長を伸ばしたと話していたけど、あれって本当?
ごめんね、あれは完全にジョークだよ(笑)。インタビューをしてくれた女の子に少し楽しんでもらいたかったんだ。
――213㎝の身長で「チビチャン」のニックネームユニフォームを着ていたから、ファンの間で話題になっていたね。
話題になっていたの? 今知ったよ(笑)。
父からずっとそう呼ばれてきたんだ。今だってそう呼ばれているよ。僕にとっては自然なニックネームだった。
――身長が高いことで困ることは何かある?
服と靴が見つからないことだね。普通のお店に行っても自分に合うものは買えない。いちいち特注したりオンラインで探したりしないといけないんだ。
だから、日本には1年分の服を持ってきたよ。
◆相撲に感動
――日本の歴史にも詳しいんだよね。
大学の授業では歴史を専攻していた。日本史の授業も取っていて、日本人の先生から多くのことを学んだ。日本の江戸時代の1650年ぐらいから現代までを学んだけど、とても興味深かったよ。
――来日前、日本にはどんな印象を持っていた?
印象は特にないんだ。日本について知識は持っていたけど、実際に来たことはなかったからね。経験していないことに対しては、先入観を持つべきではないと思っている。
――これまで日本のいろんな場所を訪れたよね。一番印象に残っている体験は何かある?
相撲だね! 本当に素晴らしい体験だった。
会場の雰囲気もそうだけど、土俵がとても神聖に扱われていて、競技そのものに敬意が感じられたんだ。本当に圧倒された。とてもカッコよかった。
――日本のことは好きになったかな?
もちろん! 人生で一度あるかないかの経験をさせてもらえていると思っている。できるだけエンジョイしたいね。
◆信頼される投手に
――理想の投手像はある?
信頼される投手だ。自分がマウンドにいるときに、チームメイトが「勝てる」と思ってくれる存在になりたい。
――今、一番原動力になっているものは何かな?
野球を愛する気持ちかな。それさえあれば特別なモチベーションは必要ないんだ。プレーできること自体が僕の大きな原動力になっているよ。
――今シーズンの目標は何?
個人的な数字の目標はない。それを言い続けている。
でも、強いて言うなら投球イニングかな。たくさんのイニング数を投げられていれば、それだけチームに貢献できている証だと思うからね。
――最後にファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
ホームでもビジターでも、ファンの皆さんの声援はしっかり届いているよ。
アメリカではスマートフォンを見ている人もいるけど、日本のファンの皆さんは一球一球に集中して観てくれていて、全員が試合に入り込んでくれているのがわかる。本当にうれしいし、ありがたいことだ。これからも僕たちに熱い声援を届けてほしい。
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規格外の長身で注目を集める一方、投手としての冷静な自己分析とチームへの熱い思いを胸に秘めたショーン・ジェリー投手でした。信頼される投手を目指して腕を振る助っ人右腕の活躍に、これからもご注目ください。