フレッシュオールスター出場 小木田投手インタビュー 地元秋田の思いを胸に

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生粋の秋田県人が、秋田出身の中嶋監督率いるバファローズに飛び込み、プロ野球選手としてのキャリアをスタートさせた。昨年のドラフト7位のルーキー小木田敦也投手。同県仙北市出身で、角館高校を卒業し、同県にかほ市の社会人野球TDKで実績を積んだ期待の右腕だ。目前に迫ったフレッシュオールスター、さらには一軍での活躍を目指して日々努力を重ねている。

◆「標準語で」

バファローズに入団し、初めて生活拠点を県外に移した。指名挨拶時には「秋田なまりで会話をしてみたい」と中嶋監督との触れ合いを心待ちにしていた。しかし、キャンプ時に中嶋監督にかけられた言葉は「標準語で話せよ」。小木田投手の緊張をほぐすための愛あるコミュニケーション。近くを通る度にこの言葉で声をかけられたことを嬉しそうに語った。

◆開幕一軍

キャンプでのアピールが奏功し、入団当初から目標としていた開幕一軍を達成。開幕2日目の3月26日埼玉西武ライオンズ戦でプロ初登板を果たした。「平常心で。何も考えず、自信を持って投げました」。持ち味のストレートとスライダーを生かして1イニングを三者凡退にしとめ、上々のデビュー戦を飾った。
4月29日の埼玉西武ライオンズ戦では初ホールドも達成。無失点で切り抜けたものの、クリーンナップとの対戦には「怖かったです。際どいところに投げたつもりでも、バットの先で当てられてヒットを打たれたり…。やっぱり両サイドもうまく使わないと」とプロのレベルの高さを痛感した。
社会人時代まで先発を任されていたため、リリーフとしての調整には少し難しさを感じていたという。「少しでも疲労が溜まって、いつもと違うような状態で投げていると、簡単に弾かれてしまう」と反省を口にする。二軍で経験を積み重ね、コンディションの整え方を学び、疲れを溜めずに連投する感覚を少しずつ掴んできた。

◆フレッシュオールスターへ

7月23日に控えたフレッシュオールスターに向けても、順調な仕上がりを見せている。7月16、17日のウエスタン・リーグ公式戦では両試合とも最終回を任され、三者凡退で締めた。「ここ最近で一番よかったと思います」と振り返り、自信を覗かせている。フレッシュオールスター選出を知らされた時には「え、自分でいいの?」という思いもあったが、巡ってきたチャンスに迷いはない。磨きをかけたスライダーとストレートを武器に「キレのある球を投げてアピールしていきたい」と意気込む。

◆球友への思い

プロの世界で戦いたい選手がいる。同郷の球友、埼玉西武ライオンズの赤上優人投手だ。角館高校時代のチームメイトで、甲子園を目指して切磋琢磨した仲。赤上投手は2020年育成ドラフト1巡目で指名され、小木田投手より一足先にプロの世界に入った。社会人5年目でのドラフト指名だった小木田投手。その道のりは平たんでなく、結果が出ない苦しみや故障から、プロ入りを諦めたくなる時期もあったという。「でも、赤上が1年早くプロの世界で頑張っていたから。赤上のおかげでプロを目指してやっていけたのかなと思います」と努力を続けられた原動力を話す。「地元が一緒ですし、自分たちが投げ合えたら、秋田の人たちも少しは盛り上がると思うので。大事な試合で投げられたら一番いい」と思いを語ってくれた。

◆桜の刺繍

社会人時代から、グローブには桜の刺繍を入れている。地元の角館では、武家屋敷のしだれ桜が名所と呼ばれているからだ。本人は「単純に人と同じものは嫌なので。桜でも入れようかと思って」と謙遜気味に地元愛を語るが、プロ入り後も変わらず投手としての“体の一部”に故郷のシンボルを刻む。秋田の地で培った経験や思いを胸に、プロの世界での活躍を見据えている。(西田光)

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