球団オフィシャルカメラマンが語る! 今シーズンベストショット

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劇的サヨナラホームラン、歓喜のウォーターシャワー、胴上げされる指揮官―。チームのあらゆるシーンを球団オフィシャルカメラマンとして15年以上にわたり撮影している松村真行さんは、そのクオリティから選手からも大きな信頼を集めているプロフェッショナルです。撮影した写真の数はシーズンで1万枚を優に超え、球団公式ホームページはもちろん、ポスターやカレンダーなど、さまざまなコンテンツを通じてファンの皆さんの目に触れられています。今回は、松村カメラマンが今シーズン撮影した写真の中から、ベストショットを3枚選んでいただきご本人に語っていただきました。

◆宮城投手の今シーズン初白星

まずは、宮城大弥投手のこの一枚。4月20日の福岡ソフトバンクホークス戦、宮城投手が登板4試合目にして今シーズン初白星をつかんだ日の写真です。臨場感あふれる投球を捉えた一枚ですが、注目すべきは尾を引くようになびく真っ白なロジン。「ロジンと言えば山﨑福也投手のイメージがありますが、宮城投手も入念にロジンバッグを握る選手の一人です。それがわかる写真を撮っておきたかった」と松村カメラマン。さらに「粉が舞い上がる様子は幻想的なんですよね」と、ロジンが不思議なオーラのように宮城投手を引き立てていることに触れます。
撮影のタイミングにもプロの技術が垣間見えます。「投手の動きの中で最もスピードがあり力が入るのは、ボールをリリースする瞬間。その時にこそロジンがバッと舞うので、そこを狙いました」。松村カメラマンは簡単そうに語りますが、ミリ秒単位のタイミングに合わせてシャッターを切るのは、熟練カメラマンだからこそできる至難の業です。

◆天王山最後の試合を決めた宗選手

次は、9月19日、首位福岡ソフトバンクホークスとの天王山最後の試合で、宗佑磨選手がサヨナラ打を決めた直後の歓喜の瞬間です。若月健矢選手らから祝福のウォーターシャワーを大量に浴びせられ、喜びを大爆発させています。
延長10回、2死満塁のチャンスに宗選手が打席に立った瞬間から、松村カメラマンは「サヨナラが来るという確信に近い感覚を持って心の準備をしていました」と振り返ります。見事試合を決めた宗選手。ただ、ヒーローは他の選手たちに一斉に駆け寄られるため、埋もれてしまいやすく、写すのは簡単ではありません。それでも「今いる場所でベストを尽くすのみ」とレンズ越しに宗選手を追い続けて捉えた最高の瞬間でした。
この写真以外にもベストショットの候補には宗選手の写真が多く挙がり、松村カメラマンは「彼の勝利に対してのリアクションや表現力は撮影しがいがありますね」と楽しげに話します。

◆中川圭選手と中嶋監督の抱擁

最後は、撮影した松村カメラマン自身も「ジーンときました」と口にするこの瞬間。10月15日のCSファイナルステージ第4戦、日本シリーズ進出への決勝打を放った中川圭太選手が中嶋聡監督と熱く抱擁を交わす一枚です。「中川圭選手のやり切った表情に、これまでのプロセスを思い起こさせるドラマが詰まっています」と松村カメラマンは話します。
昨シーズンのポストシーズンはテレビで見守っていた中川圭選手。足が震えるほど緊張したという同点9回2死二、三塁のこれ以上ない場面で、見事三遊間を破る殊勲打を放ちました。「無敵の中川」と評して二軍監督時代から期待し続けてくれた中嶋監督への、恩返しともなる一打。大歓声に包まれながら指揮官の胸でこみ上げる喜びを訴える様子は、見る人の心も熱くさせました。 松村カメラマンも「他の選手が監督と抱き合う写真もたくさんありますが、表情、タイミング、間違いなくこれがベスト。監督と選手の厚い信頼関係が伝わる、人の心に響くシーンです」と感動の記憶をたどります。
以上、今シーズンのベストショット3枚でした。松村カメラマンが「写真を見ていただく皆さんに喜んでいただけるように想いを込めて撮影しています」と話す通り、写真一枚一枚に深い考えや熱い思いが詰まっています。ぜひベストショットと共に今シーズンの激闘を思い出してください。(西田光)

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