「ナイスボール！」「集中、集中―！」「いいよ、いいよ！」。冷たい風が流れる冬のグラウンドに、明るくパワフルな声が響きます。生き生きとした表情で練習を重ねる小学6年生16人は、オリックス・バファローズのジュニアチーム。12月27日に開幕する「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2022」に向け、大阪、兵庫の計231チームから選び抜かれた精鋭たちです。NPBのジュニアチームはプロ野球の登竜門とも言われ、バファローズジュニアからは森友哉選手、野口智哉選手、来田涼斗選手、池田陵真選手の4選手が古巣に戻りました。今年のバファローズジュニアも逸材ぞろい。小川博文監督は「どの子も実力はピカイチ」と胸を張り「あとはチームとして仕上げて100％の力を出させてあげるのみ」と意気込みます。期待の金の卵たちをここで少しだけご紹介します。

◆松本煌汰選手（伊川谷キングスターズ）

まずは、キャプテンの松本煌汰選手。「捕手としてしっかりと全体を見渡せ、目配り気配りができる」と小川監督の指名で大役を任されました。「Bs Fan-Festa2022 supported by DmMiX」では1万8千人の前で堂々とした挨拶を披露し、度胸も十分。本人が「肩を生かしたスローイングが得意」と話す通り、強肩自慢の扇の要ですが、その送球の威力から投手としての起用も考えられています。「みんなが楽しくプレーできるようにしっかり声出しして盛り上げたい。プレー面でもいいところを見せてみんなを引っ張っていければ」と力強い口調で話し、優勝に照準を合わせます。

◆北野蒼葉選手(泉佐野レッドスターズ)

小川監督が「T-岡田選手、村上宗隆選手にあやかりました」と期待を込めて決めた55番を背負うのは北野蒼葉選手です。ポジションは、投手、内野手、外野手と、ユーティリティプレーヤー。所属する泉佐野レッドスターズでは、泉佐野市主催の少年野球大会で主力として活躍し優勝を経験。大きな自信をつけました。165センチ70キロの恵まれた体格を生かして迫力ある投球と打撃を披露する姿に、小川監督は「力でねじ伏せる投球、ホームランを狙える力強い打撃。両方素晴らしいものを持っています」と目を細めます。本人も「大谷翔平選手みたいに二刀流の活躍がしたい」と意欲満々です。

◆叶涼奈選手(此花バファローズ)

女子も負けていません。小川監督に「プレー面ももちろんいいですが、芯の強さを持っている選手」と評されるのは、小学1年生の頃から野球に熱中する叶涼奈選手。舞洲・2軍施設のお膝元にある、此花バファローズから選出された内野手です。しっかりとボールを見極め、パワフルなスイングで強い打球を放ちます。沖縄県の高校で“野球留学”しているお兄さんに「活躍して良い報告がしたいです」と張り切り、ハイレベルな選手たちからの刺激を受けながら元気よくグラウンドを駆け回ります。将来の夢は女子プロ野球選手です。

◆田原ひより選手(兵庫大開少年団野球部)

思い切りの良い打撃と俊足が持ち味の、田原ひより選手。野球を本格的に始めたのは小学4年生からですが、実力は十分。捕手としての能力も高く、小川監督は「ブロッキングが上手。捕手にふさわしい辛抱強さ、我慢強さも持ち合わせています」と高く評価します。平日は学校が終わるとバッティングセンターへ。「毎日お父さんと練習しています。引っ張るのが好きで、鋭い打球が飛ぶと嬉しい」と楽しみながら努力を重ねます。憧れは杉本裕太郎選手。「ラオウみたいな豪快なホームランを打てるようになりたい。昇天ポーズも格好いいです」と爽やかな笑顔で話します。

◆監督「笑顔で終われるチームに」

ここで紹介した4選手以外も、才能あふれる選手がたくさんいます。小川監督は「日本シリーズの始球式を経験した平松智樹選手、身長171センチでパワーがある米屋晴翔選手、バッティングセンスが光る芝本蒼士朗選手など、本当に面白い選手ばかり。調子や適性を見極めて、全員野球で勝利したい」と楽しげに戦略を練ります。
目標は、森友哉選手が在籍していた第3回大会以来の優勝。ただし、指揮官が主眼に置くのは「心の育成」です。「最後にやり切ったねと笑顔で終われるチームになるのが一番。野球を全力で楽しむためにも、自分の考えや気持ちを言葉にし、チームできちんと理解し合って連携できるようになってほしい。ここでの出会いや繋がりが、少しでも将来に生きると嬉しいです」と話し、愛情のこもった厳しさでチームを育成しています。 ひたむきに技を磨き、大会へ向けてラストスパートをかけるバファローズジュニアに、熱い応援をよろしくお願いいたします。（西田光）