来田涼斗選手と乾絵美スカウトは1月27日、公益財団法人こども財団(明石市)が主催する「こども夢講座」に講師として招かれました。特別な縁を持つ二人が、来田選手の母校である明石商業高校で、約30人の子どもたちを前に夢と目標について講話し、キャッチボールなどを通じて野球の楽しさを伝えました。
◆ジュニア時代からの縁
乾スカウトは、ソフトボール女子日本代表として上野由岐子さんの女房役を務め、2004年アテネ五輪で銅メダル、2008年北京五輪で金メダルを獲得。その後、バファローズの球団職員となりバファローズジュニアのコーチとして来田選手を指導しました。2020年に球界初の女性スカウトに転身。明石商業高校で3季連続甲子園に出場し主将としても活躍した来田選手を担当し、プロの世界へと導きました。二人の関係性に注目したこども財団からの提案により、二人そろっての講座が実現しました。
旧知の仲とも言える二人は、講座が始まる前の控室でもリラックスした表情でおしゃべり。こども財団のスタッフが乾スカウトにメダルの収納場所を尋ねると、代わって来田選手が即答。「冷蔵庫らしいです」。乾スカウトも「はい。冷やした方がいいと聞いたので」と息ぴったりのジョークを飛ばしていました。普段はタンスにしまっているそうです。
◆「小さい目標の先に大きな夢」
そんな二人も、こどもたちの前ではキリッとした表情に切り替えて夢について語りました。幼稚園の頃からプロ野球選手が夢だったという来田選手は、努力の方法や考え方について問われると「小さい目標のその先に大きな夢が続いていると思っています。目の前の目標を地道に一つ一つ達成していくことが大事」とアドバイス。「自信のあることは?」との質問には「野球も好きですが食べることも得意です。去年のファンフェスタではフードファイターとも戦いました」と少し得意げな表情を浮かべました。今年の目標については「しっかり活躍してレギュラーを掴みとり、リーグ3連覇と日本一連覇に貢献できるよう日々努力したいです」と意気込みを語りました。
◆「来田選手のような選手を見つけたい」
そして、乾スカウトが金メダルと銅メダルを披露すると場内からは大きな拍手。「自分ではあまり感じないのですが、よく『重いですね』と言われます」と少しはにかんだ表情でメダルを紹介しました。
結果が出ない時の気持ちの切り替え方については「できなかったことよりも、どうしたらできるようになるかをいつも考えていました」と、前向きに努力を重ねる大切さを強調。スカウトとしての目標は「来田選手のように一人でも多くのプロ野球選手を見つけたい。そして、担当した選手に、プロ野球選手になってよかった、私が担当でよかったと思ってもらえるようになることが夢です」と隣に座る来田選手を思いながら語りました。
◆バッティングの披露も
野球体験では、こども一人一人に来田選手とのキャッチボールの時間が設けられました。ストラックアウトのコーナーでは、乾スカウトがアドバイスし、的に当たると一緒に大喜びして盛り上がっていました。
最後は、グラウンドに出て来田選手がバッティングを披露。乾スカウトが投げるボールをしっかりと芯で捉え、力強いスイングで返す来田選手に「すげー!」「むっちゃ飛んだ!」と大きな歓声が上がりました。
◆温かいエール
来田選手は、プロ入り後初めての野球教室に「元々こどもが好きなので、こどもたちと野球ができて楽しかったです」とにっこり。乾スカウトとのコラボに「一緒に参加できてすごく心強かったですし、とてもいい機会になりました」と振り返りました。
「ジュニアの頃から見てきた来田選手がたくさんのこどもたちに囲まれて憧れの眼差しを向けられている姿を見るのは、とても感慨深かったです」と、教え子の成長に目を細めた乾スカウト。最後は担当スカウトとしての思いをこめて「これからも来田選手には期待していますし、活躍を心から願っています」。来田選手に温かいエールを送りました。(西田光)