冷しゃぶのガーリックソースあえ、チキンピカタ、タラのおろし煮、南瓜とさつま芋のグラタン…。バファローズ若手選手が暮らす青濤館で提供されている夕食メニューの一部です。身体が資本の選手たちは、日々のトレーニングはもちろん、栄養バランスのとれた食事も重視しています。寮で出されるメニューは、アスリート食を扱う専門業者が球団コンディショニンググループの意向を踏まえて作った特別な食事。選手たちがどんな夕食を食べているのか潜入取材してきました。
◆今月リニューアル
実は、寮のメニューは今月リニューアルしたばかり。調理・提供をしてくれているのは、シダックスコントラクトフードサービス株式会社。プロ野球チームをはじめ、プロサッカークラブ、社会人スポーツチームでも実績があり、夕食のみならず朝食のレパートリーも豊富です。
魚料理を小さめにカットしたり、野菜入りフルーツスムージーを用意したりと、選手たちが幅広く栄養を摂れるように細やかな工夫を凝らしてくれています。
◆ビュッフェ形式
食事はずらりと並ぶ色とりどりのメニューから各自でお皿に乗せていくビュッフェ形式。夕食の主菜は、肉料理、魚料理、高たんぱく低脂質料理の3種類が用意されています。日替わりで提供されるメニューは副菜を含めてなんと8種類。さらに、サラダはもちろん、納豆、キムチ、ヨーグルトといった発酵食品や、ゆで卵、蒸し鶏、ツナなどの高たんぱく食品が毎日用意されています。
デイリーメニューの中でも大好評なのがオムレツ。卵の数をオーダーしてその場で調理してもらえます。バター風味のふわふわ食感にハマって、朝晩二回食べる選手も。さらには、卵5個でオーダーする大食漢選手もいるそうです。
メニューの隣には、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物の4項目が一目でわかるカードが置かれています。さらに、その日一口でも食べるべき野菜料理には「必須野菜メニュー」のカード、食べすぎ注意の料理には「高脂質」のカードがつけられています。コンディショニンググループの本屋敷俊介グループ長は「選手それぞれが自分に必要な栄養を見て選び取れるので、食の意識を高める良いきっかけになっています」と話します。
◆山下投手のこだわり
人一倍考えながらメニューをチョイスしていたのは山下舜平大投手。オフ期間中には増量に取り組んでいました。「脂肪がつきやすい体質なので、糖質、脂質を摂りすぎないように特に気を使っています」と話す通り、高たんぱく低脂質の冷しゃぶをしっかりめに盛り付け、お米は300グラム程度に抑えたそうです。「揚げ物は基本食べないようにしています」と、この日メニューにあった春巻きには手を出さず。栄養バランスを考えて野菜も積極的に取っていました。
オムレツは、全卵2個と卵白2個というこだわりのオーダー。「全卵4個だとちょっと摂りすぎなので。ボディビルダーが白身を意識して食べている情報を参考にしています」と話し、おいしそうにたいらげました。
ルーキーの村上喬一朗選手は「今日はトレーニング後なので、成分表をチェックしながらたんぱく質の多いおかずを選びました」と、冷しゃぶやチキンピカタを多めに盛り付け。最初に野菜から食べるこだわりも覗かせます。
増量したい選手、減量したい選手、それぞれが自身に必要な栄養を意識しながら食事を楽しんでいます。中川拓真選手も「品数が多いのでバランスよく食べられます。毎日食べても全然飽きないので、すごく満足です」と寮での食事が気に入っている様子です。
◆どれもおいしい!
周囲の勧めに後押しされて、筆者もこの日の夕食をいただくことに。提供開始時間から30分以上経っていましたが、ホットプレートでおかずが常時温められているおかげで、できたてのようにほかほかです。
タラの煮つけは柔らかくて食べやすく、ほっとする味付け。冷しゃぶは、ニンニク風味にも関わらずさっぱりしていて、シャキシャキのモヤシやパプリカと絶妙にマッチ。彩りがきれいなほうれん草のお浸しやサラダにも自然と手が伸びます。どれを食べてもおいしく、危うくおかわりしてしまうところでした。
栄養たっぷりの食事でしっかりと身体をつくり、たくさんの選手がグラウンド上で大暴れすることに期待しましょう。(西田光)