ポップなタッチで描かれたバファローブル&ベル、クールな書体のアルファベットが躍るロゴ、筆文字でしたためられた選手おなじみの名ゼリフ…。色とりどりのデザインTシャツがそろう「#Bシャツ祭り」が6月27日、スタートした。球団グッズの開発・販売を行うMD部による年に一度の“お祭り”は、選りすぐりのTシャツ20種類が並ぶ。毎年ユニークなデザインを生み出し、多くのファンから人気を集めている「#Bシャツ祭り」の舞台裏に迫った。
◆2019年スタート
「#Bシャツ祭り」は2019年に始まり、今年で5年目。豊富なバリエーションで毎年ファンを楽しませている。19年に話題になった「『野球があるので、定時で帰ります。』Tシャツ」をはじめ、昨年大好評だった「ラオ福漫才Tシャツ」は「#Bシャツ祭り」で生まれた。担当者の一人、MD部MD企画グループの粟屋椰南(あわや・こな)は「どのBシャツも可能性を秘めていて、毎年どのデザインが売れるか予測が難しい」と祭りの醍醐味を話す。
テーマやコンセプトについては、あえて設定していない。そうすることでライトファンからコアファンまで、男女問わず多くの人に刺さるデザインが自然とラインナップされる。
MD部内では“Bシャツ祭り目線”なる独自の視点がある。単体で展開するには唐突感のあるデザインも「#Bシャツ祭り」ではむしろその個性にスポットライトが当たり、採用される傾向があるという。
◆お祭りのような会議
今回候補に挙がったのは70案。そこから20案程度に絞るために開催されたのが、デザイン選定ミーティング。MD部のスタッフが一堂に会し、長机にデザイン案を敷き詰めて意見を出し合う。「このシャツは、子どもが着ると喜びそう」と若手女性スタッフが口にすると「いやいや、おじさんも全然いけるぞ!」とベテラン男性スタッフ。
和気あいあいとした雰囲気で進む会議に、粟屋は「この会議自体もちょっとしたお祭りのようなものですね」と楽しげに話す。
会議中には新しいアイデアも浮かぶ。「やっぱり選手関連の面白いシャツはほしいよね」。そんな声から生まれたのは「何卒(なにそつ)よろしくTシャツ」「ガッツしか勝たん!Tシャツ」「〔定期〕先発全員安打Tシャツ」。ざっくばらんに意見を伝え合える会議だからこそ、新しいデザイン案が生まれる。
選び抜かれたデザインは、粟屋たちが約2か月かけてブラッシュアップする。「マスコット波乗りTシャツ」は、ベルのデザインのみの予定だったが、ブルのデザインも加えてペアTシャツに。さらに、波の模様にはさりげなく「B」の文字をオーダー。細部までこだわって仕上げられた。
◆キャスティングにもこだわり
こうして生まれた20種類のデザインTシャツ。仕上げは選手をモデルにした写真撮影。キャスティングは球団宣伝グループの仁藤拓馬が務めた。選手のイメージや選手同士の関係性を踏まえて、着用してもらうTシャツを選び、ぴったりのポーズをリクエストする。
前述の「マスコット波乗りTシャツ」のペアルックは、小田裕也選手と西野真弘選手の仲良しコンビ「俺の友達」にお願いした。「ノリ良く撮影に応じてくれるコンビですし、ピンときました。小田選手が先輩なのでお兄ちゃんのブルくん、西野選手は妹のベルちゃんでお願いしました」と説明する。
宮城大弥投手には、ベテラン男性スタッフ曰く「おじさんも全然いける」デザインの「あさごはんTシャツ」をセレクト。両手にフォークとスプーンを持たせて、可愛らしいポーズで撮影した。
中でも一番のクリーンヒットは、比嘉幹貴投手着用の「アートビールTシャツ」だったという。「ビールのTシャツを見た瞬間、昨年のビールかけの記憶が鮮明に蘇りました。このTシャツは比嘉投手しかいません!」と仁藤。
そのハマり具合に粟屋は「比嘉投手に着てもらえるなら、いっそ瓶ビールのTシャツもアリでしたね」とこぼした。
◆バファローズの夏の風物詩に
試合中継やビジョンに「#Bシャツ祭り」のTシャツを着たファンが映ると、頬が緩むという粟屋。SNSでファンの反応を随時チェックし「反響が大きくて嬉しいです。想定以上に売れそうなデザインもありますね」と手応えを話す。
最後に「バファローズの夏の風物詩の一つとして、浴衣や甚兵衛のような感覚でBシャツを着てもらえれば」とアピールした。
オンラインでの販売期間は、7月3日まで。ぜひお気に入りをセレクトし、Bシャツ姿でバファローズと共に熱い夏を過ごしてほしい。(西田光)