球団オフィシャルカメラマンが選ぶベストショット! 感動のシーンを振り返り

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しびれるような緊張感が漂う最終回。この日のヒーローがバットを振りぬき鋭い打球音を響かせる。球場は大歓声に包まれ、ランナーの生還と共に歓喜の水しぶきが宙を舞う―。
今季、バファローズのサヨナラ勝利はこれまでで計6回。すでに昨季のサヨナラ勝利数に並んだ。激闘を制してきたバファローズの感動のシーンを球団オフィシャルカメラマン松村真行さんのベストショットと共に振り返る。

写真:自身初のサヨナラタイムリーを放ち、喜びを爆発させる頓宮選手(京セラドーム大阪)

◆頓宮選手の歓喜

5月6日、埼玉西武ライオンズ戦での頓宮裕真選手。二死2、3塁で外角のスライダーをライト前へ運び、自身初のサヨナラタイムリーを放った。ウォーターシャワーを浴びながら若月健矢選手らと喜びを分かち合い、最高の瞬間に浸っている。

選手のプロフィール写真の撮影も担当している松村カメラマン。「笑顔を作るのが苦手な選手もいるのですが、頓宮選手は『良い顔してください』と声をかけると、いつも自然で素晴らしい笑顔を返してくれます。頓宮選手の笑った顔には人を惹きつける魅力があります」。選手を近くで見続けているカメラマンだからこそ、ベストな表情を捉えられた時の喜びも大きい。

写真:紅林選手の逆転サヨナラ2ランにヘッドロックをお見舞いする中嶋監督(ほっともっとフィールド神戸)

◆ヘッドロック

サヨナラ勝利時の中嶋監督の表情は見逃せない。写真は5月24日、紅林弘太郎選手の逆転サヨナラ2ラン後、嬉しさのあまりヘッドロックをお見舞いする中嶋聡監督。

頭の中で常にあらゆる展開を思い描きながら撮影している松村カメラマンだが、ヘッドロックについては「完全に予想外でした」と笑いながら打ち明ける。「ただ、監督ならではの愛情表現は、やはり撮影していて惹かれるものがありますよね」。自身の想像を超えるリアクションとの出会いも、カメラマンとしての楽しみの一つだと語る。

写真:7月22日、サヨナラホームランを放った若月選手と抱擁を交わす中嶋監督(ほっともっとフィールド神戸)

◆中嶋監督のとびきりの笑顔

続いて7月22日、自身初のサヨナラホームランを放った若月健矢選手を抱きしめる中嶋監督の1枚。同点で迎えた九回、一死走者なしで打席に立った若月選手が直球を捉えて見事試合を決めた。

ライトスタンドに白球が入ると、松村カメラマンはすぐさま監督との抱擁を頭に浮かべた。一塁側カメラマン席から狙ったこのシーン。若月選手が勢いよく駆け寄ったおかげで二人の体はくるりと回転し、中嶋監督の満面の笑みがあらわになった。

試合中は常に冷静沈着、鋭い眼光で策を練っている監督が、とびきりの笑顔で若月選手を迎えている。「信頼して起用する指揮官と、期待に応える選手の心が融合した最高のシーンだったと思います」と松村カメラマンは振り返る。

◆一塁側カメラマン席と三塁側カメラマン席

グラウンドレベルのカメラマン席は一塁側と三塁側にそれぞれ用意されている。松村カメラマンは「サヨナラを待つ時は、どちらのカメラマン席から撮影すべきか、すごく悩むんですよ」とポジションの難しさを語る。

今回ご紹介した写真は全て一塁側で撮影されたものだが「三塁側カメラマン席では、反時計回りに走ってくるランナーやベンチの様子を写せるため、グラウンド全体の雰囲気を収めやすいです」。特にサヨナラホームランだった場合にはベストな写真が撮りやすいという。

一方、一塁側カメラマン席はベンチとの距離が近いため、表情に迫りやすい。「打者が走り出した直後のベンチへのアピールは一塁側だからこそ撮れます。ベンチに帰ってくるヒーローの喜ぶ姿が撮れるのも大きいです」。各カメラマン席から撮れる光景、自身の経験、さらに打順や打者の特徴を踏まえ、撮影場所を判断する。

写真:4月6日、無失点に抑えてベンチに向かってほえる山本投手(京セラドーム大阪)

◆気迫の山本投手

取材の最後に、松村カメラマンに前半戦で最も思い入れのある一枚を尋ねた。松村カメラマンが選んだのは、歓喜のサヨナラシーンとは対照的な1枚だった。
4月6日、福岡ソフトバンクホークス戦で今季初先発初勝利を収めた山本由伸投手の一枚。六回を無失点に抑え、投球後にベンチに向かってほえる姿を捉えている。

「この日は初回からいつも以上に『絶対負けないオーラ』を感じていました」と松村カメラマン。山本投手の一挙手一投足を注視していた。

六回、山本投手が最後の打者をストレートで見逃し三振に仕留めた直後。ベンチへと歩みを進める時に「頬の筋肉がきゅっと動く感じがしたんです」と松村カメラマン。たちまち変わっていく表情に、すぐさまシャッターを切った。それがこの雄たけびだった。

「山本投手がこれ程までに気迫を表情に出した。それに、一度は冷静になったように見えた直後だったので、まさかでした。それだけ0で抑えたことへの手応えや思いがあったのでしょう」
試合中から選手の熱を感じ取り、それが表れる瞬間を決して逃さない。エースの勝利への執念を象徴する1枚となった。

◆勝利を見届けるカメラマン

松村カメラマンは「選手にもファンの皆さんにも喜んでいただける写真を撮りたいので、やっぱり勝ち試合が見たいです。『写真は僕が間違いなく押さえるから、決めてくれ』といつも願っています」と笑みを浮かべながら話す。

冷静に試合展開を追いつつも熱い思いを秘め、バファローズの勝利を見届ける松村カメラマン。後半戦の写真もぜひご注目いただきたい。(西田光)

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