イベント担当者が振り返るリーグ優勝の舞台裏 テープとクラッカーと瓶ビール

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9月20日、マジック2で迎えた千葉ロッテマリーンズとの直接対決。4点リードの9回、山崎颯一郎投手が最後の打者を空振り三振に仕留めると、京セラドーム大阪は地鳴りのような大歓声に包まれた。「優勝は、オリックス・バファローーーズ!」。場内アナウンスが響き渡った瞬間、スタンド上段から一斉に放たれた無数のゴールドテープ。“黄金のシャワー”がマウンドに集まる選手たちを称えるようにドーム全体に降り注ぐ。
緊張の面持ちでその様子を見守っていたのは、ホーム試合のイベント企画・運営を行っている球団イベントグループの水田真グループ長。入社24年目の水田にとっても、スタンドに詰めかけたファンを前にした本拠地での優勝は初めて。「この日のためにたくさん準備をしてきました。僕にとってもまさに悲願の優勝でした」。水田がそう語る舞台裏に迫った。

写真:優勝が決まり、マウンド付近に一斉に集まる選手たち
写真:スタンドに舞い落ちてくるゴールドテープ

◆34人が全力投球

指揮官が胴上げされる裏で着々と仕事を進めていたのが、水田をはじめとするイベントグループの球団職員。表彰式、クラッカー演出、場内一周といったグラウンドでの優勝セレモニーや、ビールかけが行われる祝勝会を取り仕切る。

中でも水田が思いを込めて企画したのが、冒頭のゴールドテープの演出だった。「とにかくタイミングがちゃんと合うように願っていました」と水田。実はこの演出、大部分が34人のスタッフによる人力によるもの。これまで最短優勝の日程が変わる度に協力会社に連絡して人員を確保し続けていた。

当日はスタンド上段通路にスタッフを等間隔に配置し、優勝を伝えるアナウンスを合図にテープを全力投球するよう指示していた。タイミングは入念に確認していたが、どうしても不安は残る。「一発勝負。テープを投げた後に万一リクエストなどが入ったらどうしようと思っていました」。文句なしの空振り三振に、水田の中では優勝の喜びと同時に安堵感が沸き上がった。

写真:クラッカーでリーグ優勝を祝う選手たち

◆山足選手の「フライング」

スタンドから割れんばかりの拍手が何度も送られた優勝セレモニー。その中身は、チームの盛り上がりも意識して練られていた。例えば、全員でクラッカーを鳴らす演出。毎度、山足達也選手がフライングしてしまう“お約束”はチーム内でも楽しみの一つとなっている。

今回は水田が特別な準備を行った。フライング後も本番のクラッカーに参加できるようにとクラッカーを二つ用意した。フライング後に渡したのは、他のクラッカーとは異なる山足選手専用ミニクラッカー。山足選手の恒例の仕事ぶりは、球団公式YouTubeチャンネル「BsTV」でぜひご確認いただきたい。

写真:祝勝会用にずらりと並べられた瓶ビール
写真:華やかな演出で盛り上がりを見せたビールかけ

◆怒涛の栓抜き

水田にとって初めての京セラドーム大阪でのビールかけ。ジェットスモークやカラフルな照明を効果的に使って大成功を収めたが、ドタバタ劇もあった。祝勝会直前、水田の目の前に立ちはだかったのは瓶ビール3000本の栓抜き作業。水田は「実はちょっとなめてました」と苦笑いで振り返る。

水田はビールの炭酸が抜けないようにと、あえて祝勝会の1時間前から作業開始を判断。だが、祝勝会30分前、半分以上蓋がついたままの瓶ビールを目の当たりにする。特定のスタッフが作業し続け、疲れて握力が弱まりスピードダウンしてしまっていた。「やばい。全然終わらん!」と大慌て。
急遽、京セラドーム大阪を運営する大阪シティドームからありったけの栓抜きを借りた。現場に居合わせた球団職員、協力会社の社員も加わり、約20人で怒涛のラストスパート。祝勝会開始5分前になんとか完遂することができた。

「一時はどうなることかと…。皆さんの助けのおかげで間に合いました」。周囲が快く協力してくれたことに感謝しきりの水田だった。選手たちの歓喜の大爆発と共にまたたく間に泡と消えていくビール。その様子を見て誰よりもほっとした表情を浮かべていた。

写真:ビールかけ終了後の会場

◆さらにパワーアップを

選手たちが大暴れしたビールかけ会場の撤収も一筋縄ではいかず、明朝近くまで汗だくで作業に当たったという水田。だが、「ずっと願っていたホームでの優勝。去年から温めていた演出も実現できて本当に良かったです」と達成感あふれる表情で話す。

次に見据えるのは、クライマックスシリーズ(CS)と日本シリーズ。「イベント面でももっとできることがあるはず。CSを突破し、もしホームで日本一連覇が決まることになればさらにパワーアップさせた演出をして、球場全体を盛り上げたいです」。具体的にはこれからとしつつも、すでにやる気満々の様子だった。
華やかな優勝の舞台裏。そこには熱い思いを持って準備を重ね、現場で必死に汗を流す球団職員の姿があった。(西田光)

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