9月26日、試合前のBsGirlsによるパフォーマンス。撮影していたはずの中継カメラマンが突如BsGirlsに加わり、キレキレのダンスを披露するサプライズ企画があった。スタンドのファン、ベンチにいる選手、さらにはBsGirlsからの視線を釘付けにして球場を沸かせたのは、「こじねぇ」こと小島知久カメラマン。球団公式YouTubeチャンネル「BsTV」でクローズアップされ、現在話題を呼んでいる。10年来のBsGirlsファンである小島カメラマンが「ずっと願っていた夢が叶って、本当に幸せな時間でした」と振り返る最高のステージ。彼のBsGirlsへのあふれる思いと本番に至るまでの軌跡をたどった。
◆BsGirlsと“同期”のカメラマン
小島カメラマンは普段、球団映像やビジョン映像を無線カメラで撮影し、試合におけるさまざまなシーンをファンに届けている。試合前は始球式や国歌斉唱をはじめとしたセレモニーをグラウンドで撮影。試合中はスタンドに足を運び、応援するファンを映している。
数ある撮影シーンの中でも「僕にとってのメインディッシュです」と即答するのが、BsGirlsの試合前パフォーマンス。「僕も10年前にカメラマンとしてデビューしたので、BsGirlsとは“同期”なんです! 初めてカメラマンとして撮影した時に、格好良すぎて感動しました」。結成当初からBsGirlsの撮影に全力を注いでいる。
ダンスムービーは繰り返し視聴し、目まぐるしく変わるフォーメーションを全て頭に入れた上で、ヴォーカル、パフォーマー、それぞれの見せ場を考えている。撮影時にグラウンドを右へ左へと動き回るのは、計算し尽くした最高のアングルでメンバーたちを捉えるためだ。「BsGirlsを撮らせたら僕がナンバーワンだと思っています。僕が撮っている映像が一度ビジョンに流れたら、もう絶対に他のカメラに切り替えさせないぞ、という思いで撮っています」と、確固たる自信を持つ。
◆オーディション合格
そんな熱い思いを持ってシーズンを送る小島カメラマン。ダンス経験がないにも関わらず、好きが高じてBsGirlsのダンスを趣味で練習するようになっていた。「一度でいいからBsGirlsと一緒に踊ってみたい」。今年6月、5年ほど前から抱き続けていた夢を球団イベントグループの木寺一樹に打ち明けた。「面白そうだし、やってみますか?」。トントン拍子で話は進み、イベントグループ長、エイベックスの担当者、NATSUらによる“オーディション”が実施された。見事「合格」を言い渡され、念願のステージが決定。晴れ舞台の注目を集めるため、NATSU以外のメンバーにはほとんど知らせず、サプライズ企画として行うことになった。
曲は、今春リリースした12thシングル「Update」。小島カメラマンたっての希望だったが、数ある楽曲の中でもトップクラスの難易度を誇るダンスナンバーである。
「実際に踊ってみたら、やばい、無理かもと思いました」。テンポが速く緩急のついた高度な振り付けは、ダンス未経験者にとってハードルが高かった。
だが「こんな夢みたいな話は二度とない。憧れのBsGirlsと一緒に完璧に踊りきりたい」。毎日一人で猛練習。仕事を終えた後、誰もいないオフィスに姿見を立てて2、3時間、休みの日にもダンススタジオを借りて黙々と練習した。時間を見つけては振り付けを確認し、本番までの約3カ月間、頭の中ではずっと「Update」が流れ続けた。
◆一糸乱れぬパフォーマンス
迎えた本番。グラウンドへと駆け出していくBsGirlsを緊張の面持ちで見つめる小島カメラマンがいた。いつも通りパフォーマンスが始まり、盛り上がっていくサビの途中。メンバーのNATSUにさっと近づき、カメラを託した。「頑張ってください!」。NATSUからの激励に「はい!」と微笑んで返事をすると、たちまち真剣な表情に切り替え、BsGirlsの輪の中に加わった。
周囲の驚きをよそに小島カメラマンはパフォーマンスに集中した。身体に染みつくほど練習したダンスですっかりBsGirlsに溶け込み、共に一糸乱れぬパフォーマンスを披露。いつもは大人びたクールな表情で魅せるBsGirlsのメンバーたちも、突如加わった謎のカメラマンのキレキレのダンスに思わず笑顔をこぼした。
歌詞を口ずさみ、ステージでの高揚感に浸る小島カメラマン。一度も合わせたことがなく心配していた大幅なフォーメーションチェンジも見事成功させ、曲の終盤へ。ラストでセンターポジションを陣取り両手を広げるポーズが決まると、達成感いっぱいの表情でスタンドに向かって深々と頭を下げた。情熱的でハイレベルなダンスに、スタンドからは盛んに拍手が送られた。
◆完璧なダンス
念願のステージを終えた小島カメラマンは「頭真っ白で…全然覚えていないんです」。夢見心地で答える様子に、NATSUは「完璧でしたよ!こじねぇだからここまでできたんです」と心から努力をたたえた。
“乱入”に最も動揺していたHINATAは「いつも上手に撮ってくれるカメラマンさんだと思っていましたが、まさかこんなに踊れるなんて…。私たちももっとパフォーマンス技術を磨かないと」と刺激を受けた様子。NATSUも「こんなにBsGirlsを愛してくれている方に撮影していただけるのは、本当に幸せ」と改めて喜びをかみしめた。
「10年目という節目の年にたくさんの人に支えていただき夢が叶って感謝の気持ちでいっぱいです。BsGirlsと心も繋がった気がしますし、もっとBsGirlsが好きになりました。これからもBsGirlsの最高の映像をお届けします」。今後も「Update」されていく小島カメラマンのカメラワークにご注目いただきたい。(西田光)