応援トング「TONGood!!」の誕生秘話 頓宮選手の地元岡山の企業と強力タッグ

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10月20日「2023 パーソル クライマックスシリーズ パ」ファイナルステージ第3戦、八回に代打で打席に入った頓宮裕真選手は、初球を振りぬき復帰後初のタイムリーを放った。お立ち台では恒例の掛け声「ほいさー!!」が2度も飛び出し、首位打者の“復活”に球場は大歓声に包まれた。
さかのぼること2日前、CSファイナルステージ初戦の日にバファローズファン待望の頓宮裕真選手応援グッズ「Buffaloes応援トング『TONGood!!』」が発売された。手のひらで叩くことで音が鳴るオリジナルトング。SNS上では「ついに!」「欲しすぎる」と早くも話題沸騰中だ。担当したのは、球団MD企画グループの柿森純。聞くと、頓宮選手の地元である岡山県の企業と二人三脚で思いを込めて作り上げたグッズだという。「TONGood!!」誕生までの裏側に迫った。

写真:10月18日に発売されたBuffaloes応援トング「TONGood!!」

◆満を持してトング

2017年入社以来MD部一筋でキャリアを積む柿森。18年ドラフト2巡目で頓宮選手が入団した当初から、トンググッズを期待するファンの声を耳にしてきた。
今年6月、頓宮選手が規定打席に到達しリーグ打率トップに躍り出た時「今だ!」と直感に従いすぐさま企画をスタートさせた。相談を持ち掛けたのは、球団スタッフウェアの製作を通じて繋がりがあった、岡山市の宇治産業ウエスト株式会社だった。球団応援グッズの開発は未経験。だが、常務取締役の下山拓也さんは「山本由伸投手と並ぶ地元のスター選手のグッズのご相談。やらない理由がないです。絶対に特別なグッズにしようと思いました」と前のめりで話を進めた。

写真:側面に書かれた「TONGood!!」の文字の部分を叩くとより大きい音が鳴る。

◆ビート板と同じスポンジ素材

前例がなく完全に一から作り上げるグッズ。応援スタイルをはじめ、形状、素材など、考えなければならない課題は山積みだった。「これまでの人生でこんなにトングを調べたことはなかったです」。その日から柿森の頭の中はトングで埋め尽くされることになった。

「焼肉用の細長い形状も良いかなと思ったんですが、細いと音が鳴りにくくて…」。当初から音が出るグッズにしたいと考えていた柿森。プラスチックや風船が素材の候補に挙がったが、どれもピンと来ず。試行錯誤の末に下山さんがひらめいたのが、スポンジ素材だった。兵庫県西宮市のスポンジメーカーに相談した結果、ビート板と同じ素材という最適解にたどり着いた。「すごく軽い上に丈夫。トングを叩いた後もしっかりしなって元の形状に戻ります」と柿森。トングの先端部分に硬い樹脂板をつけることで、叩いて音を鳴らせるようになった。トングを一度しっかりと広げた後、側面の「TonGood!!」の文字の部分を手のひらで叩くと、より大きな音を出すことができる。

◆頓宮選手の顔とにらめっこ

さらに立ちはだかったのは、トングを覆うラッピング。「シュリンク」と呼ばれるペットボトルのラベリングなどに使われる特殊な加工技術を使っている。熱を加えてフィルムを収縮させて貼り付けるため、縮み具合を見越して頓宮選手の顔写真、文字をデザインしなければならない。特徴的な楕円型で中央部にはくびれもあるトング。イレギュラーな形に合わせ倍率を変化させてフィルムをつくる作業は想像以上に時間を要したという。

CSまでになんとか間に合わせようと、下山さんは「ほいさー」と叫ぶ頓宮選手の顔写真と毎日にらめっこ。「僕の中では間違いなく今年の流行語大賞です。その時の状況は全く『ほいさー』ではありませんでしたが、頓宮選手の元気な顔に励まされました」と笑いながら振り返る。

写真:「TONGood!!」を持って笑顔の頓宮選手

◆サンプルは持って帰った頓宮選手

CS目前に出来上がった最終段階のサンプル。これを見た二人は、大きな達成感を分かち合った。柿森は「やっと形にできた喜びは大きかったです。これをファンの皆さんが球場で叩いてくださるところを想像すると、すごく嬉しくて。下山さんをはじめ、多くの協力企業のおかげで仕上げることができました」と晴れやかな表情で語った。

選手個人をテーマにしたオリジナル応援グッズは正尚チャンスダンベル以来。「TONGood!!」を初めて手にした頓宮選手は上機嫌で写真撮影に応じ、両手に持った二つのサンプルを喜んで持って帰ったという。

写真:10月20日、お立ち台で「ほいさー!!」と叫ぶ頓宮選手

◆ヒーローインタビューで掲げて

柿森と下山さんは、復帰早々お立ち台に上がった頓宮選手の活躍に大喜びしている。期待をさらに膨らませ「スタンドの皆さんもヒーローインタビューの時には『3、2、1、ほいさー!!』に合わせてぜひこのトングを掲げてほしい」と口をそろえる。トングを閉じることで現れる「ほいさー」の文字。球場全体でトングと共に勝利の喜びを分かち合うシーンを思い描いている。

写真:共に「TONGood!!」を作り上げた下山さん㊧と柿森㊨

球団職員と頓宮選手の地元の企業による強力タッグから誕生した、思いが詰まった応援グッズ。「TONGood!!」で「カチカチ」と音を鳴らしてチームの「勝ち」を後押ししてほしい。(西田光)

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