育成からの再出発、支配下復帰、そして、プロ初勝利。今シーズン着実に力を伸ばした横山楓投手に、飛躍の1年や秋季キャンプでの手応えについて、佐藤達也広報がインタビューしました。
◆「ラストチャンス」身体づくりから見直し
――今シーズンを振り返って、率直にどんなシーズンでしたか?
精神的に成長できた一年でした。育成スタートだったので、2軍でなかなか辛い毎日を過ごしていましたが、1軍を目指してめげずに頑張れたと思います。
最後は結果もついてきてくれたので、良かったです。
――7月に支配下登録されて、プロ4年目で初勝利。飛躍の1番の理由はどんなところにあると思いますか?
去年のオフシーズン、育成契約になった時に色んなことを1から見直そうと思って、身体づくりから食事面までしっかり管理しました。
それができたことで、調子の波も少なく、自分の強みであるまっすぐで勝負ができました。だから良い結果につながったのかな、と思います。
――今年にかける思いや覚悟はやはり例年以上に強かったんですか?
シーズンスタート時点で「ラストチャンス」だと思っていました。
支配下になってからも、その時コメントした通り「崖っぷちの四年目であることには変わらない」と思っていましたし、そういう強い気持ちで、1試合1試合必死で投げました。
――初勝利の日には、お立ち台にも初めて上がりましたね。あの瞬間、今振り返ってどうですか?
「あぁ、プロ野球選手になれたんだなぁ」と思えました。
家に帰った後に妻にも言われたんです。「今日一日、プロ野球選手っぽかったね」って。心の底から喜んでくれました。
ウイニングボールは、娘はまだ小さくてわからなかったので、妻のもとにいきました。
「宝物が増えた」と、とても大事にしてくれています。
――今、刺激を受けている選手はいますか?
皆すごく練習しますし、皆に刺激を受けているのですが…、やっぱり入山(入山海斗投手)ですかね。
――よく2人で練習していますもんね。
はい! 同じタイミングで支配下に上がりましたし、切磋琢磨というか。練習でも色々刺激をもらっています。
◆充実した秋季キャンプ
――秋季キャンプではどんなことを意識していましたか?
オフシーズンの大切な一歩だと思って取り組みました。
身体づくりを1から始めていくために、ウェイトとかきつい練習もして、徐々に強度を上げていきました。
技術面では、今はまっすぐよりもフォークを磨いています。平野さん(平野佳寿投手)に教わって、結構手応えも出てきました。
――平野さんにはどんなことを教わりました?
今までは腕を思い切り振って投げていたのですが、「もう少し力を緩めてフォークらしく投げてみて、落とす感覚を覚えると良いよ」といったアドバイスをいただきました。
身体の前でボールを離す感じが少しずつわかってきて、形になってきたと思います。
――キャンプの休日は何していましたか?
午前中は温泉に入って…、午後からは入山と釣りに行っていました!
今までやったことなかったんですけどね。釣具屋さんに行って竿とリールを買って、入山に教えてもらいながらやりました。
――休日も含めて、高知では良い時間を過ごせたみたいですね。
はい!充実した秋季キャンプになりました。
◆ショパンのノクターンが弾ける
――ちょっと自慢できることとして、ピアノが弾けるって聞きました。
はい!小学2年生から5年生ぐらいまで習っていました。
母の友人がピアノ教室を開くことになって、第一号の生徒になってくれないかと言われたのがきっかけでした。
――すごいね! プロ野球選手ではなかなかいないですよね。
そうかもしれないですね。
発表会では宮崎市の文化ホールで弾いたことがあります。
あとは、小学4年生の時かな? 合唱大会があって、ピアノの伴奏も務めました。
――何か得意な曲はあるんですか?
ショパンのノクターンですね。
母にこれだけは絶対弾けるようになってほしいと言われて。
もう、うろ覚えですけどね。暗譜して弾いてました。楽譜も読めますよ。
――小さい頃の夢は保育士だったとのことですね。
はい! 中学生の時に職場体験で保育園に行ったらすごく楽しくて。自分に合ってるな、と感じたんです。
高校には保育コースがあったので、普通科からそっちに移るのもずっと考えていたぐらいです。
子どもはすごく可愛いなぁと思います。
◆1軍で完走したい
――来シーズンの具体的な目標はありますか?
まずは開幕から1軍にいたいと思っています。そこから一年間1軍で完走できるように頑張りたいです。
――理想とする投手像みたいなものはありますか?
息の長い選手です。ケガをしない身体の強い選手になりたいです。
また、チームにもファンの皆さんにも頼ってもらえるピッチャーになりたいと思っています。
――最後に、来シーズンに向けての意気込みとファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
オフシーズン、後悔が残らないようにやりきって、ひと冬越えた後に、パワーアップした姿を皆さんにお見せしたいです。
来年、チームが優勝できるように、その力になれるように、しっかり頑張ります!
育成からの再出発を力に変え、確かな存在感を示した横山投手。仲間と競い合いながら歩みを進める右腕は、来シーズンもさらなる成長を見せてくれそうです。