「笑顔で行こうぜ!」「ウーッ!!」。寒空が広がるグラウンドに、明るく元気いっぱいの掛け声が響きます。円陣を組んだオリックス・バファローズジュニアの選手たちが、練習試合を前に気持ちを一つにしていました。大阪・兵庫を中心に313チームの中から選ばれた16人の精鋭たちは、12月26日に開幕する「NPBジュニアトーナメント KONAMI CUP 2025」(明治神宮野球場・横浜スタジアム)を見据え、練習を重ねています。バファローズジュニアの注目選手をご紹介します。
◆打線の中心を担う上田灯真選手(灘西レイダース)
豪快なスイングで打線の中心を担うのは、上田灯真(うえだ・とうま)選手。身長171センチ、体重62キロ。塩崎真監督が「小学生離れした規格外の選手」と太鼓判を押す逸材です。
今年の夏には全国規模の「ピッチング&スイングスピードコンテスト」に挑戦し、小学6年生男子の部で全国3位に輝きました。スイングスピードは127キロをマーク。ピッチングでは123キロで全国1位の成績を収め、現在は最速129キロを投げられると言います。外野手としての起用を中心とし、投手としての可能性も探られています。
「テレビで見て憧れた」と話すのは、球団レジェンドの福本豊さん。「盗塁がすごいのはもちろん、自分の持ち味を貫く姿がかっこいい」。自身の評価や数字に左右されることなく、着実に努力することを誓います。
◆女子選手も全力! 鴨井梨愛選手(島本ヤンキース)・西村綺咲選手(鳴尾東ビクターズ)
鴨井梨愛(かもい・りあら)選手と西村綺咲(にしむら・きさき)選手は、チームを明るく盛り立てる女子コンビ。男子選手に比べると小柄ながら「自分ができることはしっかりやりたい」と、一投一打に全力で向き合っています。
内野手、捕手を務める鴨井選手は、粘り強い打撃とミート力が持ち味。憧れの森友哉選手と同じ番号「4」を背負います。西村選手は、緩急を使い分ける投球が武器。生粋のオリ姫で、宮城大弥投手をリスペクトしています。
「出会ってすぐに仲良くなった」という二人は、練習試合でバッテリーを組んだことも。男子選手に負けじと、互いに尊敬し合い、手を取り合いながら成長を続けています。
◆笑顔でチームを引っ張る小川咲来選手(池田ウイングス)
弾けるような笑顔と明るい掛け声でチームを引っ張るのは、キャプテンの小川咲来(おがわ・さくら)選手。塩崎監督が「チームを作るにあたって、絶対に主将として迎えたいと思っていた」と語る通り、チャンスでもピンチでも声を張り上げ、チームの士気をぐっと高めます。
野球を楽しむ姿勢を大切にしながらも、グラウンド上では一切妥協しません。打撃では主にクリーンナップを任され、勝負どころで力を発揮。内野手、捕手としても堅実な守備を見せるなど、プレー面でもチームに欠かせない存在です。
見据える目標は明確。「絶対に優勝です。チーム全員で勝って、皆で喜びを分かち合いたいです」。きりりとした表情で答えます。
◆チーム唯一の左腕 岸本隼選手(明石ボーイズJr)
チーム唯一の左腕としてマウンドを託されるのは、岸本隼(きしもと・しゅん)選手。幼稚園の頃から野球を始め、高校球児の兄の背中を追いかけながら腕を磨いてきました。
持ち味はコントロール。168センチの長身から角度のあるストレートを投げ込みます。夏には全国大会のマウンドも経験。「打たれてもズルズルいかず、一回区切ってまたやり直す」と、切り替える力も身に着けました。
打撃でもセンスが光り、打線の中心を担います。憧れはパドレスの主砲、マニー・マチャド選手。将来はメジャーリーグを舞台に活躍し、ワールドシリーズで優勝することが夢だと語ります。
◆塩崎監督「全員期待できる」
塩崎監督が「全員が期待できる選手」と話す通り、ここで紹介した選手以外にも個性と実力を兼ね備えた選手がたくさんいます。コントロールとマウンド度胸が持ち味の勝木奏一朗選手。近鉄バファローズで活躍した羽田耕一さんの孫にあたる羽田庄里選手。俊足が武器の西岡慧選手は、投打の両面で存在感を発揮します。
結成からおよそ一か月半。チームは短い準備期間の中で確実に団結力を高めてきました。大会に向けて塩崎監督は「5試合すべてを戦い抜くつもりで準備してきました」と優勝への思いを口にします。続けて、「投手を中心にしっかりと守り、機動力を生かして少ないチャンスをものにしたい。粘り強く戦い、接戦に持ち込みます」。理想の試合展開を語ります。
大会は、「DAZN」「J SPORTS オンデマンド」「NPB公式YouTube」で配信される予定です。大舞台で躍動するバファローズジュニアの姿にぜひご期待ください。(西田光)