「もっと愛される球団に」 新人選手にファンサービスの大切さを伝える講習

Share

 「ぜひ皆さんと一緒に、バファローズをもっと愛される球団にしていけたらと思います」。オリックス・バファローズは1月20日、選手寮「青濤館」の多目的ホールで、新人選手を対象に「ファンサービスの大切さを伝える講習」を実施した。登壇したのは球団事業推進部副部長(マーケティング担当)兼イベントグループ長の中島英太郎。未来のスター候補たちを前に、球団経営の視点も交えながら、これまで球団が取り組んできたファンサービスについて語った。

◆初めての取り組み

 ファンサービスがプロ野球選手にとってなぜ重要なのかを、球団の事業・イベントを担う立場から直接伝える取り組み。今回が初めての実施となった。

 中島は背景についてこう語る。「イベントを企画する時、ファンの皆さんと選手が触れ合える機会を増やしたい、という意見はいつも挙がっています。すでに選手の皆さんはとても協力的で多くのイベントに取り組んでくれていますが、どこかでその大切さをきちんと伝えられたらと思っていました」

 その流れの中で、今年、多くの高卒ルーキーが入団してきた。

 「ついこの間まで高校生だった選手たち。プロ野球選手として活躍することが一番ですが、ファンとの触れ合いの大切さを知ってもらえれば、これからファンと向き合う場面一つ一つの意味も変わってくると思ったんです。ファンの皆さんが期待する姿を早い段階で知ってもらうことは、選手にとっても大切なことだと感じました」

 前例のない取り組みだったが、球団本部に話を持ち掛けたところ、想像以上に前向きな反応があった。「絶対に実施するべき」と意見が合致し、新人合同自主トレ期間に合わせて行うこととなった。

◆いつか意味がわかれば

 講習の中で中島が最初に説明したのは、球団経営の視点から見たファンサービスの重要性だった。データから読み取ったバファローズファン、プロ野球ファンの特徴や、球団の収入構造などを紹介した上で、球団にとってファンの存在がいかに不可欠であるかを伝えた。

 「高卒の新人選手たちは、球団経営やマーケティングに関する言葉に触れる機会が少ない。少し難しい言葉も使ったかもしれませんが、いつか意味がわかると思うので、そのとっかかりになれば」

 中島の期待以上に選手たちは真剣な表情でその説明に耳を傾けた。

◆自分自身も楽しんで

 中島が講習の核心に触れる。「応援してくださるファンを増やしていくために、何をしなければいけないか。それは、皆さんが1試合1試合勝利を積み重ねて強いチームになり、ファンの皆さんを熱狂させることです。そして、もっと応援したくなるよう、気持ちを込めてファンの皆さんと接していただきたい」

 触れ合いの具体例として「オリ姫デー」、「夏の陣」、「Fan-Festa」を紹介。写真撮影会やハイタッチ会、サイン会など、ファンと直接関わるシーンについて伝えた。

 「自分自身も楽しんで、笑顔でファンサービスをしてもらえれば、ファンの皆さんももっと応援したくなると思います」。選手たちに呼びかけた。

◆「ファンの皆さんを楽しませたい」

 講習の最後には、サインや写真撮影を想定した実践も行われた。立ち位置やポーズの取り方を確認しながら進められ、和やかな空気が流れた。

 講習後、藤川敦也投手はFan-Festaについて「大変そうだな、と思いました」と率直な感想を口にしつつも「きちんとファンの皆さんを楽しませなければいけないと思いました。愛想良く接する選手は人気も出ると思うので、これから意識していきたいです」と気持ちを新たにしていた。

 中島は語る。「来てくださった方々により深く球団を愛してもらえるようにしたい。その上で大切なファンサービスについて、選手の前で直接伝えられたのは、これから先きっと意味を持つのではないかと思います」。手応えを感じた様子だった。

 今後は選手たちの反応も踏まえながら、毎年実施していくことを視野に入れている。(西田光)

Share

前の記事を見る

次の記事を見る