京セラドーム大阪、フィールド刷新! 8年ぶり人工芝張り替えの舞台裏

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 京セラドーム大阪のフィールドが2026年シーズン開幕に向けて新しく生まれ変わった。人工芝の全面張り替えは2018年以来8年ぶり。2月14日に始まった工事は28日に予定どおり完了した。張り替えにあわせ、グラウンドデザインも一新。この2週間、現場では何が行われていたのか。その舞台裏に迫った。

写真:昨シーズンまでのグラウンドデザイン(2025年4月撮影)

◆今年で開業30年目

 今回の人工芝の張り替えを担当したのは、株式会社大阪シティドーム施設部工事課の森宗章登さん。「昨年の春先ごろから、グラウンドキーパーさんやチームの意見をヒアリングした上で、計画を進めていました」と話す。

 まず着手したのは、グラウンドデザインの見直し。マウンドとベース周り以外のフィールドを鮮やかなグリーンで統一した。
 色の境目ではボールの軌道が見えづらくなることがあるため、「グリーンの面が広いほうがボールを追いやすい」という選手の声が後押しになった。

 さらに、京セラドーム大阪は、今年で開業30年目。節目のシーズンにふさわしく「リニューアルしたことが一目でわかるようにしたい」。そんな思いも強かったという。

写真:カール形状が特徴のミズノの人工芝「MS Craft Baseball Turf」

◆ミズノの野球専用人工芝

 京セラドーム大阪では、野球の試合だけでなく、年間を通じてコンサートやイベントが数多く開催される。その度にグラウンドは養生シートで覆われ、その上を設営用の大型車両が行き交い、巨大な舞台が組まれる。強い荷重や摩擦がかかる環境だからこそ、人工芝の性能には妥協できない。

 採用されたのは、ミズノ株式会社が野球専用に開発している人工芝「MS Craft Baseball Turf」。京セラドーム大阪では、2018年の更新時にこの人工芝を初めて導入した。

 ミズノ株式会社で人工芝を取り扱うスポーツ施設サービス事業部営業課長の澤山政義さんは、その特徴をこう説明する。「『MS Craft Baseball Turf』は特殊な加工技術により、一本一本がくるっとカールしています。このカール形状により、上から押されても人工芝が自然と元の形に戻り、本来のやわらかさを保つことができます」。こうした性能から、ドーム球場の多くでこの人工芝が採用されているという。

写真:古い人工芝の撤去作業で一面真っ白になったグラウンド

◆8階バルコニー席まで真っ白に

 2月14日、万全の状態で迎えた工事初日。まず、古い人工芝の撤去作業が行われた。森宗さんはこの時をこう振り返る。

 「覚悟はしていましたが…、ここまでとは」

 ショベルカーで古い人工芝をめくったとたんに、細かいほこりが一気に立ち上った。視界はみるみるかすみ、ドームは一瞬で“白い空気”に包まれた。スタンドは特大シートで覆っていたが、防ぎきれずにコンコースにまで広がった。8階ビスタルームのバルコニー席まであっという間に白く覆われた。

 ほこりには、マウンドやベース回りの土だけではなく、コンサートなどでアリーナに降りた人の衣類の繊維や細かな塵も含まれているという。積もり積もった8年分が一気に解放されたのだった。

 「初日と2日目は深夜まで対応に追われました。あの白い世界はあまりに衝撃的で…。工事期間中、何度も夢に出てきました」。森宗さんは汗をぬぐう。

写真:ロール状で運び込まれた新しい人工芝
写真:新しい人工芝をフィールドに敷き込む様子

◆巨大なロール状の人工芝

 古い人工芝がすべてはがされると、コンクリートの床がむき出しになった。
そこに、巨大なロール状の新しい人工芝が次々と運び込まれていった。一本の幅は約4メートル、長さは最長60メートル。計106本が用意された。

 1本ずつ広げ、図面どおりに位置を合わせる。人工芝同士の継ぎ目には接着用のテープを敷き込み、両側から寄せて丁寧に繋げていく。外野の曲線などは、現場で微調整を重ねながら整えていった。

 最後の仕上げに、ゴムチップや砂を混ぜた充填材(じゅうてんざい)を、グラウンド一面に広げた。ブラシのついたトラクターが一定の速度で何度も往復し、充填材の厚さを均一に行き渡らせた。この緻密な工程には、約一週間が費やされた。

写真:新しい人工芝の上でプレーする太田椋選手

◆「気持ちよくプレーできる」

 2週間というタイトな工期を終え、森宗さんは振り返る。

 「24時間体制で工事に関わってくださった施工スタッフの皆さんや、座席を一つずつきれいに拭き上げてくださった清掃スタッフの皆さんなど、たくさんの方々のお力で、新しいグラウンドでシーズンを迎えられることになりました」
 そして、こう言葉を続けた。「僕たちはお客様の前に出ることはありませんが、選手の皆さんが伸び伸びとプレーできて、お客様が楽しく観戦できる環境を整えるのが仕事です。その一端を担えているのは、少し誇れることかと思っています」

 現在、チームはオープン戦の真っただ中。生まれ変わったグラウンドは選手たちの評判も上々だ。
 「踏み込んだときのやわらかさが全然違っていて、足に負荷がかかりにくくなりました。打球も目で追いやすくて、守りやすくなったと感じています。すごく気持ちよくプレーできています」と、太田椋選手。

 舞台は整った。シーズン開幕は3月27日。目にも鮮やかなグリーンのフィールドで思う存分躍動する選手たちの姿を楽しみに、その日を待ちたい。(西田光)

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