野口智哉選手 「全てで高みを目指す」 来シーズンへの決意

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小学生時代、バファローズジュニアチームの一員だった野口智哉選手。11年ぶりに古巣のユニフォームに袖を通したルーキーイヤーを終え、高知秋季キャンプでは強い決意を持って練習に取り組んでいた。「今年もっと結果を残したかったけれど、それが今の自分の実力。来年こそいい数字を残せるように」。打撃練習でも守備練習でも「全てにおいて高みを目指してやっています」と、すでに来シーズンへのスタートを切っている。

◆ジュニア時代にキャプテン

才能の片鱗は、ジュニア時代から見せていた。「ノックを受けている時のしなやかな動きと、肩の強さが、小学生の中では飛び抜けていました」と当時コーチとして指導していた乾絵美スカウト。さらに、真っ先にキャプテンに立候補した姿を見て「実力だけでなく、すごくやる気がある子だな、と。すごく頼りになる、格好いいキャプテンでしたよ。いつもニコニコしていて、みんなに愛されてイジられていました」と回想する。
野口選手本人にとっても、ジュニアチームでの出会いは大きな刺激となった。「当時、地元の橿原市(奈良県)では一番の自信があったんです。でも、この時に自分よりレベルの高い人たちに出会って、まだまだだと気付かされて。世界が広がりました」と振り返る。高みを目指すきっかけを与えてくれたバファローズで、プロとして再びプレーできることになった喜びはひとしおだった。

(写真:高知秋季キャンプで練習に打ち込む野口選手)

◆意識が変わった試合

今シーズンは、54試合の出場で打率2割2分6厘、6打点、1本塁打。野口選手にとっては悔いの残るシーズンだった。印象的な試合についても、初ヒットや初ホームランではなく、6月4日広島東洋カープ戦での自身のタイムリーエラーを挙げる。「試合自体はその後逆転して勝ったんですが、むちゃくちゃ悔しくて」。ただ、そこから「意識が変わりました」。経験を糧に、普段の守備練習からあらゆる場面を想定し、一層集中して取り組むようになった。「サインプレー一つとっても、大学の時よりもすごく頭を使うようになりました。打席でも、いかに落ち着いて考えて、状況に応じたバッティングできるかが大事」と野球に対する考え方を一段と深めていった。

◆悔しさをバネに

10月29日、日本シリーズ第6戦7回に代打で放ったヒットは、揺るぎない自信に裏付けられていた。CS期間中のみやざきフェニックス・リーグ。一軍に呼ばれなかった悔しさから夢中でバットを振った。「練習ではいい形で振れてきていましたし、あとは呼ばれるのを待つだけでした」と言えるレベルにまで仕上げていた。初めて立つ日本シリーズの打席にも物怖じせず「自信がありました。打席に立った瞬間も自分の中でしっかり余裕がありました」。冷静にボールを見極め、4球目の外角のシュートをセンター前に運んだ。実戦で意識して磨いてきたという「野球への感性」が大舞台で研ぎ澄まされ、僅かながら悔しさを晴らせた瞬間だった。

(写真:高知秋季キャンプでバッティング練習をする野口選手)

◆克己心

好きな言葉は、自分自身に打ち勝つ心「克己心」。鳴門渦潮高時代に監督が掲げた当時のチームスローガンを今も胸に刻む。「上達するには地道な努力が必要。どれだけしんどくても自分に甘えず、自分に勝つ意識でいます。大好きな野球ではだれにも負けたくないから」。
来シーズンの目標打率について「率を残してなんぼのバッターなので。3割です」と宣言したかと思うと「いや、やっぱり10割で」とにやりと笑う。どん欲な目標を立てて自らを奮い立たせ「いつかチームの顔になれるぐらいの選手に」と飛躍を誓う。壁を乗り越えるべく、決して妥協せず全力でバットを振る。(西田光)

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