オリックス・バファローズは6月21日、大阪の街を明るくすることに貢献した地元のヒーローに始球式を行っていただく「なにわのHERO始球式」を京セラドーム大阪にて実施しました。4回目となった今回は、初のヒロインのご登板。大阪府看護協会の高橋弘枝前会長にお越しいただきました。
◆大阪をご機嫌な街に
高橋さんは、2016年大阪府看護協会会長に就任。「大阪をご機嫌な街に」と、看護職が働きやすい環境の体制整備をはじめ、看護職が専門性を最大限発揮するための支援に取り組まれました。
新型コロナウイルス感染症が急拡大する中、医療崩壊を防ぐため、特に潜在看護師の復職に尽力。自らの言葉で発信し、復職にためらいのある看護師向けの教育研修を強化されました。コロナ禍におけるさまざまな取り組みが評価され、これまで大阪サクヤヒメ表彰、未来のいしずえ賞、ヘルシー・ソサエティ賞など数々の表彰を受けられています。そして、惜しまれながら6月17日に6年間務めた会長職をご退任されました。
◆イチローさんのファン
当日、お越しいただいた高橋さんに、ご用意した背番号「728」、背ネーム「HEROINE」のユニフォームをお見せすると大喜び。実は、イチローさんをリスペクトしていたという高橋さん。「ストイックでプロ意識が高く、武士のよう」と憧れ、シアトルを訪問し、本拠地セーフコ・フィールドの前で写真を撮ったりTシャツを買ったりされたそうです。さらに、福本豊さんのファンでもあったことから、今回の始球式の喜びもひとしお。「野球は未経験だったけど、ソフトボール経験者の職員や少年野球の元監督から教わって、頑張って練習してきました」とボロボロになった硬式野球ボールを見せてくださいました。
◆最高点の投球
バッターボックスには野口選手、キャッチャーは福永選手が入り、迎えた本番。「ピッチャー!高橋弘枝!」。スタジアムアナウンスで名前を呼ばれると、にっこりと微笑み、ボールを持つ右手を高く突き上げられました。ゆっくりと大きく振りかぶって投げられたボールは、三回ほどバウンドして転がりながらも無事福永選手のミットへ。この日の球場には、大阪府看護協会の職員をはじめ、高橋さんが以前勤められていた病院の看護師や医師も駆けつけており、会場からは盛んな拍手が送られました。マウンドから降りた高橋さんは「むちゃくちゃ緊張しました。でも、私にとっては最高点」とほっとした表情で話してくださいました。
◆看護の力でできることを
高橋さんは、コロナ禍が看護師人生の中でも最も大きい出来事だったと振り返られます。「目の前の大阪府民を守る。看護の力で貢献できることは全てやる。とにかくそういう気持ちでした。職員や役員、地区の理事さんたち、そして大阪府の行政の方々も含めて、大阪府全体で一致団結して戦ってきました」。力強く語られる姿からは、全身全霊を懸けてコロナ禍を戦い抜き、私たちの生活を支えてくださったことが伝わってきました。「看護師に光を当ててくださって、本当に嬉しかったです。ありがとう!」。会長として引き受けていただいた最後の大仕事を、最高の笑顔で締めくくってくださいました。
ところで、高橋さんの“野球愛”はこんなところにも。始球式のキュロットは、なんと特注品。真っ白のナース服にユニフォームの襟と同じ、ネイビーとゴールドのラインが入っています。ナース服を手掛ける会社の知人が特別に手縫いしてくださったそうです。今回の始球式への熱意を物語る準備の徹底ぶりに、球団職員一同大感激でした。(西田光)