
「打球がぐんぐん伸びていきます! レフト見送って…、入りました! ホームランです!」。杉本商事バファローズスタジアム舞洲で6月28日に行われた「第13回大学対抗バファローズファーム実況コンテスト」では、今年も大学生たちが溌剌とした実況を披露しました。3カ月後の9月28日に京セラドーム大阪で審査結果の発表と表彰式を実施。関西大学放送研究会が8年ぶりの最優秀賞に輝きました。上位2チームの実況者がこの日の選手コールに挑み、プロの舞台の高揚感を味わいました。

◆池田選手「目玉」の一発
このコンテストは、バファローズのホームで開催されるウエスタン・リーグ公式戦を大学生が実況し、実力を競います。過去の出場者の中には現在活躍中のアナウンサーもいるファームの名物イベント。今年は、大阪経済大、関西大、関西学院大、神戸大、同志社大の5校から7チームが出場。球場全体を見渡せるスタンド最上段に“放送席”を設置しました。
この日は福岡ソフトバンクホークス戦。1点ビハインドの4回裏、1死一、三塁で6番の池田陵真選手がバッターボックスに入りました。球団スタッフが学生に向かって手を振り、このシーンが審査対象となる合図を送りました。
試合前に池田選手にインタビューした学生たち。同志社学生放送局チーム1は実況者と解説者がテンポよく言葉を交わします。「池田選手、今朝はいつも通り目玉焼きを食べたとのことでした」「試合の目玉となる展開に期待ですね」「目玉焼きだけにね」
直後、鋭い快音が響きました。打球はレフトフェンスを越えていきます。「入ったー!」「逆転3ランホームラン!」「池田選手、今シーズンファーム第3号です!」。文字通り目玉の一振り。学生たちは興奮気味にマイクに声を吹き込みます。この一発が試合の流れを決定づけ、バファローズが6対1で福岡ソフトバンクホークスに快勝しました。


◆「想像以上に難しかった」
炎天下のスタンドに爽やかな声を響かせた学生たち。今回出場した中では唯一の女性実況者だった関西学院大2回生の熊本愛香さんは「野球が大好きなので、思い切って挑戦しました。バファローズの選手のことをたくさん知れてとても楽しかったです」と笑顔。神戸大2回生の東広郷さんは、苗字が同じ東晃平投手のユニフォーム姿で挑みました。「データの準備はしっかりしてきましたが、マイクに向かって話し続けるのは想像以上に難しかったです。小学生の頃から応援しているチームを実況できて嬉しかったです」。充実した表情を浮かべました。
担当する球団スタジアム運営グループの丸毛謙一は「今年は特に上位3チームのレベルが非常に高く、最後まで審査に悩みました。どの学生からも真剣さが伝わってきました」と振り返りました。

◆選手コール「爽快」
審査の結果は、最優秀賞が前出の通り関西大学放送研究会、優秀賞が同志社学生放送局チーム1、第3位が神戸大学放送委員会となりました。表彰式では、球団事業運営部・大久保勝信部長からトロフィーや記念品が贈られました。
上位2チームの実況者はこの日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦の1、2回裏の選手コールに挑戦。ボイスナビゲーターの神戸佑輔さんからのレクチャーを受け、緊張の面持ちながらも選手の名前を丁寧に読み上げました。
関西大2回生の柴田煌志さんは「スタンドが盛り上がる様子を見ながらコールできて本当に爽快でした。貴重な経験ができました」と声を弾ませて話します。同志社大3回生の村上太一さんは「回数を重ねるごとに抑揚をつけてコールできたと思います。球場に自分の声を響かせられて、本当に気持ちよかったです」。達成感をにじませました。(西田光)